自治体の在り方を歴史から振り返る

自治村落の形成

中世ヨーロッパでは村落共同体で自治をしていました。以下では、日本における自治の流れを紹介します。

日本の自治の歴史

中世初期…荘園をベースに地理的にまとまりが生まれる。

→集住が進む。(塊村の発生)

鎌倉後期…水利配分、水路の修築、境界紛争等からの自衛

→地縁的結合が強まる。(惣村の発生)

14世紀…南北朝の動乱で各地に惣村が発生

15世紀…自分らで守るという意識が高まり、最も強力な自治能力を獲得

戦国時代…戦国大名の支配が強まる。

                   →惣村の自治力が弱まる。

                   →兵農分離で武力が失われる。太閤検地で支配力が強まる。

                   →惣村の消滅

江戸時代…祭祀面、水利面で惣村の自治的性格を継承する。

今日…寄合等、地域運営、自治的活動にも継承する。

惣村の内容

中心~ 村落(ムラ)→菜園→水田・畑(ノラ)→家畜の放牧、餌、狩場(ハラ・ヤマ)

※ハラ・ヤマは入会地(共同で使われる土地)ともいう。

構成員

惣村の指導者層

乙名…祭祀を司る宮座(神社)の代表者。選挙での選出をするが、名主層や有力者が担当した。

沙汰人…領主等の代理人が指導者となったもの。世襲制で担われた。

自治の担い手

若衆…警察、自衛、消防、耕作などの担い手

また、惣村の構成員は女性が認められておらず、家の長が務めていました。

今日の自治体

自治体とは、国家から自治の権能を認められた公共の団体。自治団体。地方自治体。を指します。しかし、沖縄の基地問題にあるように自治の権能が認められるという境界が難しいこともあります。では自治とは何でしょうか。自治とは、同質的な集団ないし団体の意思が構成員の参加に基づき決定されることを指します。地方自治は地方公共団体の政治が国の関与によらず住民の意思に基づいて行われること、もしくは国内の一定地域の住民がその地域における公共事業を自主的に決定し処理することを言います。しかし、いずれも財政的な基盤がなければ自治が展開できないのが特徴です。

地方自治体の役割

 中央と地方の相互の抑制により、それぞれの権力濫用を防ぐための地方分権的な仕組みとしています。(三権分立のようですね。)また、地方自治体において最も重要なのが地方の実態に即して問題を解決することです。もし中央政府のみで公共事務を行ってしまうと、 地域の実情に詳しくないので政策が全国一律になってしまいます。 これによって各地で不満、反発が生じやすくなってしまいます。また責任・負担が中央政府に集中してしまうことが懸念されます。民主主義の訓練という意味からも、地方自治は需要な政治的意義をもっていることもおさえておきましょう。

自治と行政の課題

自治の見直しの例によく登場する「平成の大合併」について紹介していきます。

「平成の大合併」

1999年…「市町村の合併の特例に関する法律」に従って合併を進めた基礎自治体を重視しようという動きが始まった。日本は明治以降、基礎自治体の拡大といった特徴を持っている。

2000年…3232ある市町村を1000にしようという目標が出されるが、当初は合併が進まなかった。そこで政府はアメとムチの政策に踏み切った。

アメ…合併特例債、地方交付税の算定替え特例(合併した自治体への優遇)

ムチ…小規模自治体向け地方交付税段階補正の削減(小さい自治体の交付を減らす)、三位一体改革

2010年…市町村数1751にまで減少 Ex)白山市…山から海まで合併。→適した政策はできるのか?という問題が生じた。

三位一体改革の落とし穴

三位一体改革…①国庫補助負担金の廃止・縮減②地方交付税の縮小③地方への財源移譲

地方への財源移譲が行われれば、国からの交付金が減少しても、自治体運営が回る。といった考えは間違いです。農山村は課税対象となる住民や事業所が少なく、地域社会が必要とする行政窓口サービスや福祉医療、生活基盤の維持・整備を実施する財政基盤を持っていません。これによって地方自治体の弱体化が大きく進みました。

具体的にはどのような影響が出たのでしょうか。

Ex)役場の撤退、自治体職員数の減少、公共施設(小中学校、保育園、幼稚園)の統合、公共の温泉やスキー場などの民営化や廃止、図書館の図書室の縮小、医療・社会保障の住民負担の増加

住民の声を聴く人がいなくなり、問題解決が困難になるといった結果をもたらしました。

新たな基礎自治体へ

地方自治体の本来の目的である地域の実態に即して問題を解決することが困難になってきています。

そこで農水省では「地域運営組織」、総務省では「地域自治組織」「まちづくり協議会」といった新たな自治組織をとおして基礎自治体の再生を目指しています。しかし、団体自治を制度的に保証されておらず、自治活動を支える財政的裏付けがないことが大きな問題となっています。

まとめ

今回は日本の自治という側面から歴史を通じて問題点を紹介しました。いかがだったでしょうか。現状の打開のためにわたしたちになにができるのかを考える必要がありますね。

harukata

「大学では何をするんだろう?」「実際の授業はどんなの?」と思っている方のために大学の授業内容や、現役大学生に向けて、知っておくべき社会の問題などを主に紹介しています!将来に少しでも不安を感じている方の力になれれば幸いです。

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