労働と貧困の基礎用語

資本主義とは

 資本主義とは生産に必要な土地や工場、機械などの生産手段が私有化されている経済体制のことを指します。(社会主義では国有化されています。)資本主義において、労働力は生産者としての資本家・企業よりも立場が弱いのが特徴です。なぜなら、資本家は一部であり、かつ、労働者は資本家よりも数が多いために、労働者が企業を選択する側面よりも、生活のために働かざるを得ない=労働力を供給せざるを得ない労働者が資本家によって選択される=需要される側面のほうが強いという特徴を持つからです。そのために資本主義の成立期において、低賃金、長時間労働、児童労働、不衛生な労働など劣悪な労働環境が一般的であり、労働問題が深刻になっていました。そこで、労働者は労働運動を展開し、労働組合を結成し、資本家・企業に対抗して労働法、工場法、労働基準法など、労働者の立場を守る法律・制度を整えたのです。

雇用形態の種類

 雇用形態はさまざまな形をとります。ここではそれを紹介します。

  • 正社員…正規雇用で雇われた労働者(法律上明確な定義はない)
  • 派遣社員…派遣労働者
  • 契約社員…有期労働契約の労働者
  • パートタイム労働者…要件を満たせば年次有給休暇も取得できる
  • 業務委託(請負)契約…企業から発注を受ける「個人請負」など雇用に類似した働き方をする

 現在の日本の非正規雇用労働者率は4割近くにまでのぼっています。非正規雇用労働者率が高い産業で一般労働者の賃金が低い傾向がみられています。

 また、個人請負をする人は約170万人を上回っています。以前は土木関係の仕事で多かったですが、現在ではIT系、デザイナーなどが目立っています。特徴としては、「雇用に類似した」ともあるように、労働法制の対象外であるということが挙げられます。最賃制度や労災保険が適応されません。同様に、育休、産休もありません。しかし、ルールがないので自分で自由にできる点は魅力的です。

 よく聞かれるワーキングプアについても触れておきましょう。ワーキングプアとは普通に働いているにもかかわらず貧しい人々のことを指します。 貧しさの基準として、生活保護における基準を利用される場合があります。

日本型雇用形態の成立から非正規雇用の増大へ

第二次世界大戦の日本では、憲法において労働者の権利が保障され、1947年には労働基準法・失業保険法(現在の雇用保険法)が制定されました。同様に、1990年代のバブル経済崩壊以降、大企業を中心として、1)終身雇用、2)年功序列資金、3)企業別組合という三つの要素をもつ日本型雇用慣行が採用されました。1995年に日本経営者団体連盟(現在の日本経済団体連合会)は「新時代の日本的経営」を打ち出し、そこでは雇用柔軟型という雇用形態(フリータなど)を活用しようという動きがみられました。しかし、1999年に労働者派遣法改正がされ、派遣労働業務が一部を除き原則自由化されたことで、正規労働者・正社員以外の不安定な働き方をしている非正規雇用労働者が増加しました。2004年には派遣受け入れ期間の延長や派遣対象業務の拡大(製造業など)が実施され、さらに、近年では、経済のグローバル化、国際競争の激化、高度情報化の進展などを背景に日本型雇用慣行は大きく変容しています。日本型雇用慣行の前提には専業主婦という存在があるために家計補助的労働とみなされる傾向があり(性別役割分業という)、現在の女性の社会進出等の問題にもに大きくかかわっています。

貧しさの基準

 ワーキングプアのように労働問題の中には貧困の問題があります。所得格差が拡大することで市民の不満が大きくなることや、親の経済事情によって教育機会の格差が生まれることもわかっています。このような学歴による格差は若者非正規雇用の低賃金の問題へとつながり、悪循環をもたらします。

 では、何をもって貧しいと定義しているのでしょうか。具体的に見てみましょう。

相対的貧困率

貧困の一つ目の考え方に「相対的貧困率」があります。

相対的貧困率とは、「等価可処分所得」中央値の半分に満たない世帯員の割合のことを指します。

 相対的貧困率は、経済協力開発機構(OECD)の考えに基づくものです。これは、絶対的な貧困水準を表すものではなく、所得の中央値の半分を下回る所得の者の割合を示す相対的な指標であり、預貯金や不動産などの資産は考慮していません。また、医療や教育などの現物給付や消費税も考慮されていないことに注意です。

中央値とは

おそらく数学の授業で見たことがあると思います。それと全く同じものです。中央値とは、対象となるデータを小さい順番で並べた場合に中央に位置する値を指します。データの総数が偶数の場合は中央に近い二つの値の平均をとることに注意です。

可処分所得とは

可処分所得とは、所得(仕送りや年金などの現金給付を含む)から所得税、住民税、社会保険料及び固定資産税を差し引いたもののことを指します。

 もし400万円の可処分所得で一人暮らしをすれば、十分生活できます。しかし、400万円の可処分所得の4人の世帯は苦しい生活となるでしょう。このような時には、世帯の規模によって所得を調節しなければなりません。このとき、可処分所得を世帯員数で割るという方法が思い浮かびます。しかし、この方法では可処分所得が140万円の1人暮らしと可処分所得が280万円の2人暮らしを考えると同じものとなりますが、実際には後者のほうが家賃や水道光熱費を折半することで節約できるがために比較的楽な生活を営むことがわかります。

 そこで、可処分所得を世帯員数の平方根で割るという調整を行います。これが等価可処分所得です。例えば、可処分所得が140万円の4人の世帯では、4の平方根(√4)は2であり、等価可処分所得は200万となります。可処分所得280万円の2人暮らしでは、2の平方根を1.4と近似すると、等価可処分所得は200万円となります。

ジニ係数とは

 おまけとして、経済の話に良く出てくるジニ係数について紹介します。ジニ係数とは、所得格差の指標を指します。所得分配が完全平等の場合は0、ある一世帯が所得を独占した場合は1に接近します。総世帯員の等価再分配所得のジニ係数は低下傾向にあります。

まとめ

 ここでは労働問題や貧困問題に頻繁に出てくるについて紹介しました。経済学などで主に取り上げられると思いますが、皆さんの生活にかかわる用語でもあるのでおさえておいても損はないと思います。

harukata

「大学では何をするんだろう?」「実際の授業はどんなの?」と思っている方のために大学の授業内容や、現役大学生に向けて、知っておくべき社会の問題などを主に紹介しています!将来に少しでも不安を感じている方の力になれれば幸いです。

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